[報告]第1回 哲学相談研究会
第1回哲学相談研究会(2017年5月20日)は、7名で行いました。
まず、本間さんより、会の発足の経緯が話されました。「哲学相談」については、各自以前から関心をもち、取り組んできた部分もあるが、日本においてはきちんと研究がすすんでいない現状にある。したがって、「哲学相談とは、実際に何をしていくのか?」という具体的なことと、その土台となるような研究を開拓していきたい、という主旨でした。
それから、各発起人の話す「哲学相談」の概要やそれぞれの関心をもとに、話しあいがなされました(本間、桂ノ口、高橋、松川、望月)。
その後、今後の「哲学相談研究会」の方向性と、具体的に次回の研究会をどうするかが確認されました。(「どのようなニーズに、どのような技法をもって応えることができるか」という見取り図をつくっていく。次回は、韓国の江原大学と共催する。)
以下は、報告者の印象に残っている点のメモ(かなり関心に偏りのある、不正確な可能性もある)です。
(報告:桂ノ口)
・それぞれの年によって異なる哲学プラクティス国際会議の印象や、開催国の文化的・社会的背景とその地でのプラクティスとの関連など。
・名称について。おもに英仏では「哲学コンサルティング」、おもに北米では「哲学カウンセリング」、独では「Lebensberatung」という言い方がなされている。2000年代あたりからは「哲学プラクティス」と言う人も多い(?)。
哲学「コンサルティング」と名乗ってやっていくとすると、日本では企業などの「組織コンサルティング」が想起されるだろう。ニーズを考えたとき無視はできないが、競合する職種が多い領域でもある。
哲学「カウンセリング」と名乗ってやっていくと、日本では「カウンセリング」という語のもつ力によって、過剰な期待感や不安感がもたれる可能性が高い。
哲学「プラクティス」は、哲学カフェやP4Cも含む、ひろい意味のことばである。
そのため、本間さんたちは、この数年はさしあたり「哲学相談」という語を使ってきたそう。
・「ケア」の視点が、とても大切。「ケア」とは、「ニーズから出発する」「ニーズへの応答」として捉えることができる。また、松川さんの実践は、ニーズベースでの実践が、次のニーズへと繋がっていっている。だからわざわざ「哲学」という冠をつけなくても、それを必要としているところへ、必要なかたちで届いていく。
・プラクティス全般について言えることだが、自分のしていることを自分で観察するというのは、なかなか難しい。プラクティショナーに関心のある「研究者」と、うまく協力して取り組んでいけるとよいだろう。
・哲学相談を理解し、実践するための「キーワード集」を作成していくのもよいだろう。
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